バリオンステッチと針について オートクチュール刺繡技法と針
バリオンステッチとは
バリオンステッチ、知る人ぞ知るステッチ。ぐるぐる針に巻いてコイル状にして刺すステッチです。
薔薇のモチーフを作る時に良く使われます。
バリオンという名前はbullionからきており、金の塊、を意味します。
昔、ヨーロッパの軍人さんの制服の金刺繍に、コイル状の刺繍技法で使われていた所からきているようです。
虫ステッチ、とか、コイルステッチとか呼び名がけっこうあります。
ナマコとかもあったので、バリオンが名称としては聞こえが良いですね。
バリオンステッチ針について
割と特殊な針ですで、バリオンステッチ針という名称で販売されている物自体が少ないです。
やり始めの頃は、ちょっと太い長めの刺繍針で代用してみたり、色々と無駄な抵抗を試みましたが、やはり、専用のお道具は重要と言う事を身を以って体験しました。
弘法筆を選ばずとは申しますが、実際は専用の道具で猿も何とかなるもの。
バリオンステッチ針においては後者。
ぐるぐるがスムーズに針から抜けない事故が多発の悩みを一発で解決してくれました。
針の日本の名門の会社、チューリップ社のバリオンステッチ針。
チューリップ社の針は普段から愛用しております。ミニ試験管の容器が可愛いです。
収納にも、いちいち並べて刺してしまわなくても、試験管に放り込めば収納完了なので便利です。
刺繡針も、レース編みのかぎ針も、極細目打ちも、チューリップ社の針は逸品だと常日頃より感謝しております。(まわし者ではありません。笑)
そして、バリオンステッチ針もすこぶる快適、でした。
素直に最初から使えばよいものの、ついついずぼらな性格で、あるもので賄ってやれというずさんさで、時間の無駄を呼び込む始末。
とはいえ、この糸滑りの良さは快適極まりなく、くるくるが崩れることなく刺せます。
ありがとうチューリップ社の針。いつもお世話になっております。
バリオンステッチ針針のサイズ
フランス針の7号に比べてバリオンステッチ針は長いのがわかりますね。
くるくると巻きますので長さも必要です。
太さは左端から、1.14×65.0㎜、1.14×60.0㎜、0.91×51.5㎜、0.84×51.1㎜です。
布の強度や、巻く糸の種類に合わせて使い分けると使いやすいです。
使用した作品
今回レッスン課題でバリオンステッチを使ったのは、この羽のブローチのいち部分です。
ノーマルなバリオン巻き+キャストオンとのコラボです。
作品紹介はこちらから
ふわふわっとなるように工夫したブローチです。羽毛部分を長めにしたかったので、シルク生地でしたが、1.14×60.0㎜の太めの針2本を使用しています。刺す時はシルク生地が裂けないように要注意です。
薔薇に使われる事の多い技法ですが、立体感を出したい箇所に使えます。
作品の表現を広げるバリオンステッチでした。